干し椎茸は、自然のうま味ブースター!
第1のうま味はグルタミン酸。全ての食材に豊富に含まれています。第2のうま味はイノシン酸です。イノシン酸は肉や魚に多く含まれており、肉や魚が料理を美味しくすることは周知の事実です。3つ目は干し椎茸のグアニル酸です。お料理のうま味を30倍に高める天然のうま味ブースターです。しかし干し椎茸の食習慣がある人はそれほど多くないので、グアニル酸の効果はまだあまり一般に知られていません。
うま味の相乗効果
A) グルタミン酸+イノシン酸= 7倍
B) グルタミン酸+イノシン酸+グアニル酸= 30倍
干し椎茸を料理に使うと以下のようなグルタミン酸が豊富な食材のうま味がもっと深くなります。
他の食材のうま味を干し椎茸が引き出します
干し椎茸は、ポルチーニのように料理をきのこ味にしてしまうのではなく、お料理の他の食材のうま味を最大限に引き出します。生椎茸を乾燥することで細胞膜が破壊され、水戻しによって希少なグアニル酸が生まれます。このグアニル酸は他の食材のうま味を高めてくれます。
精進料理の伝統
干し椎茸にはうま味成分が凝縮されており、精進料理には欠かせないものとなっています。精進料理のバイブル「典座教訓」には干し椎茸に関するエピソードが3回も登場します。
また干し椎茸は精進料理と同様にヴィーガン料理のうま味を高めることができます。ヴィーガン料理にしいたけを使うと、自然のうま味がさらに一層おいしくなります。
もちろん肉好きの方も、干し椎茸を使うことでさらに最高のうま味を楽しむことができます。
椎茸がうま味を高める仕組み
舌のうま味受容体にグルタミン酸が入ると、私たちはうま味を感じます。干し椎茸のグアニル酸は、うま味の受容体の口を閉じて、うま味をより長く、より強く感じることができるようにする効果があります。グルタミン酸はさまざまな食品に豊富に含まれていますが、グアニル酸は干し椎茸など一部の食品にしか含まれていません。
「うま味は、人間が食品中の身近なタンパク質の指標として認識しており、その味覚は遊離アミノ酸、特にl-グルタミン酸イオンが舌のうま味受容体に結合することで誘発されます。グルタミン酸(Glu)はヒトの母乳に最も多く含まれるアミノ酸であり、新生児がうま味を感じるための下準備を早くから行っていることを示唆しています。」論文を読む
「ヒトでは、グルタミン酸とイノシン酸またはグアニル酸の間に大きな相乗効果が起こる。グルタミン酸とイノシン酸またはグルタミン酸とグアニル酸の混合物の最大味覚強度は、それぞれ7倍と30倍であった。」論文を読む
原木栽培と菌床栽培の比較
原木栽培の椎茸は、菌床栽培の約3倍の価格ですが、グルタミン酸は約2倍、グアニル酸は約6倍含まれています。グルタミン酸は、椎茸のうまみそのものです。グアニル酸は、他の食材のうまみを強くする働きがあります。原木栽培の干し椎茸は、ヘルシーかつサスティナブルであり、様々な料理のうま味を高めることができます。