九州・高千穂郷の干ししいたけ専門問屋

杉本商店

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「どんこ」と「香信」

「どんこ」と「香信」

Tag: #どんこ

自然の中で育つ原木露地栽培の椎茸は、大きさや形もさまざまになります。「どんこ」と「香信」は、同じ原木から生える同じ椎茸ですが、収穫時の傘の開き具合で呼び名が異なります。「どんこ」は、傘が開ききる前につぼみの状態で収穫されたしいたけです。「どんこ」は「こうしん」に比べて肉厚で小ぶりです。「香信」は傘が大きく平たいのが特徴です。


傘の開き具合が「7分開き未満」の半球型で肉厚のものを「どんこ(冬菇)」と呼んでいます。
傘の開き具合が「7分開き以上」の平たい薄葉のものを「こうしん(香信)」と呼んでいます。

「どんこ(冬菇)」の語源は中国語で、冬に収穫されたキノコを意味する言葉です。原木路地栽培の椎茸は、春と秋の年2回収穫されます。しかし、どんこは(香信と混ざって)主に春の気温が低い1月から4月に採取され、まさに冬のきのことも言えるでしょう。一方で秋の収穫ではどんこは少ししか採れず、ほとんどが香信になります。香信の収穫量が多くなるのは、気温が高くて椎茸の成長が早いためです。「香信」の語源は、"香り高い "キノコを意味する中国語「香蕈(こうじん)」です。「どんこ」が歯応えがあり重厚な香りがするのに対し、「香信」は華やかな香りがします。

我々の椎茸は山林で路地栽培されているため、太陽や雨、風にさらされながらゆっくりと育つことで、味や食感、栄養価が最大限に引き出されています。しかし原木路地栽培の椎茸は、中国などのビニールハウスで人工的に屋内栽培された椎茸に比べて、形や大きさ、見た目が均一ではありません。中国産をはじめとする菌床栽培の椎茸は、大きさや色、見た目が均一です。また、より美しい見た目を実現するために、栽培施設で素早く椎茸を育て、漂白剤を使ってきれいに白くすることもあります。しかし、味や食感、うまみは大きく損なわれてしまいます。

私たちは森林の中で、甘い樹液で有名なクヌギの原木で椎茸を育てています。私たちの椎茸は完全に自然にさらされていて、椎茸の上にも周りにも覆いはありません。生産者の皆さんは、千年の歴史を持つ日本古来の持続的な原木栽培で、日本で最高の味と食感を椎茸にもたらすとされるクヌギ原木で栽培しています。

大きな企業もこの椎茸を育てることはできません。山奥に住む家族が、自然と共存しながらこの椎茸を育てています。マニュアルは無く、それぞれの森林で異なる微気候に従い、雨や風、木漏れ日などの自然環境を間伐作業で微調整し、天候の変化に応じて毎日の作業内容や作業時間を変えていく必要があります。また、干し椎茸の鮮度と品質を維持するためには、収穫後半日以内に椎茸を乾燥機に入れて24時間ほどかけて乾燥させる必要があります。乾燥機がちょうど一杯になるように収穫していくので様々な大きさの「どんこ」と「香信」が混ざって収穫されます。タイムカードや土日のことを考えるビジネスパーソンには、おいしい原木栽培の椎茸は育てられません。我々は約600軒以上の生産者の皆さんと協力して、この美味しい椎茸を育てています。

自然の森林では天候をコントロールすることができず、収穫から乾燥までの時間も限られているため、原木路地栽培の干し椎茸は、大きさや形、見た目も様々なのです。


芽を出したばかりの椎茸は、傘の内側に膜が張った状態で大きくなります。そしてもうこれ以上大きくならないくらいまで育ったら、傘裏の膜が切れ、傘を開いて胞子を放つ準備に入ります。生産者の皆さんは、この傘の内側の膜が切れているかどうかを確認して、できるだけ大きなどんこになるように採取していきます。(写真)

Shiitake_releasing_spores.MP4 <= 椎茸が胞子を放出している様子の動画です

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