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杉本商店

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子供達の味覚が危ない!

うま味を舌で感じない人が増えてます

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若者の味覚感度が落ちている

若者の味覚感度が落ちていることに警鐘を鳴らす論文が多数あることに気づきました。味覚感度が落ちる理由は以下のように説明されています。

一般に、高齢化にともない味覚感受性が低下するといわれているが、最近、若者にも味覚障害がみられるようになってきた。味覚障害の原因は様々であるが、疾病によるものを除けば、食事由来の原因で生じる亜鉛欠乏によるものが大半といわれている。若者の味覚障害は、食生活の乱れや生活環境の急激な変化に関連すると考えられ、それはファーストフード及びコンビニエンスストア、調理済み食品の利用で容易に好みの食品を摂取することによる栄養摂取の偏り、また、加工食品などの食品添加物を多く含んだ食品の過剰摂取が、体内の亜鉛代謝に負の影響を及ぼすためといわれている。さらに、現代社会におけるストレスが自立神経を失調させ、味覚障害を引き起こす可能性がある。「若年女性の食習慣, ストレス, 痩せ願望が味覚感受性に及ぼす影響」より

5つの基本味「甘味」、「塩味」、「酸味」、「苦味」、「うま味」のうち、うま味がもっとも味覚感度が低い傾向があり、逆にうま味の感度が高い人は他の味覚も敏感に感じる傾向があります。

うま味の感受性が高い者は食行動意識が高く、食事をバランスよく食べることで味付けや摂取量が適度となり、うま味感受性を高く維持していると推祭された。(中略)だしはうまみを含み、薄味でもおいしく感じさせるために減塩効果がある。また、だしを利用することで、舌が鍛えられ繊細な味がわかるようになり、味覚感受性が高まることにつながると報告されている。「女子大生における味覚感度と食物摂取状況ならびに食生活との関連」より

これと同じ主張の論文だけでもこんなにありました。

1「大学生の味覚感受性 (特にうま味) と食習慣について」
2「若年者の味覚感度の現状と食生活との関連」
3「高校生のだしの嗜好ならびに食経験がうま味認知閾値に及ぼす影響」
4「食生活状況と味覚感度に関する研究」
5「若年女性の5基本味の味覚感度の経年変化と食習慣との関連」
6「若年女性の食習慣,ストレス,痩せ願望が味覚感受性に及ぼす影響」
7「味覚感度に関する研究 (第1報)コンビニエンスストアの利用頻度と味覚感度の関連について」
8「小学生と親を対象とした煮干しだしと風味調味料だしに対するだしの好みとうま味の知覚との関係」
9「大学生におけるだしを食する経験とだしの嗜好との関係」
10「女子学生における塩分摂取量および味覚に関連する因子について」
11「仙台白百合短大生の味覚感度に関する調査」
12「大学生と調理師専門学校生の味覚の比較」
13「中学生における混合味の識別能について (第1報)」
14「中学生における混合味の識別能について (第2報)」

うま味調味料に頼るとうま味に対して鈍感になる

外食や加工食品などうま味調味料を使った食事を摂ると、なぜがうま味を感じにくくなってしまうのです。

「高校生のだしの嗜好ならびに食経験がうま味認知閾値に及ぼす影響」という研究において、「自宅で使っているだしの種類」が、うま味の認知閾値(うま味を感じる敏感さ)にどのような影響を与えるか二項ロジスティック回帰分析で統計的に評価されました。(熊本県内のD高校1年生183名を調査)

自宅でのだしの種類:オッズ比 1.70,95%信頼区間 1.136 - 2.533,P=0.010
(5:作らない,4:市販,3:市販が多い,2:天然だしが多い,1:天然だし)

この変数は、自宅でどのような「だし」を使っているかを5段階に分類してスコア化したものです。

1)天然だしのみを使用
2)天然だしが多い
3)市販のだしが多い
4)市販のだしのみ
5)だしを使っていない(=「だしを作らない」)

この研究で使われた「市販のだし」とは、顆粒の風味調味料のことです。

オッズ比1.70は、「だしの使用形態が1段階上がるごとに、うま味を感じにくくなる(=認知閾値が高くなる)確率が1.7倍に増加する」ことを意味します。
例えばスコア2(天然だしが多い)からスコア3(市販だしが多い)に変わると、うま味に鈍感になる可能性が1.7倍に上がる。スコア4(市販だしのみ)からスコア5(だしを作らない)でも同様に、さらに1.7倍増える。

つまり、だしを家庭で使わないか市販品のうま味調味料に頼るほど、うま味に鈍感になるリスクが高まることを示しています。

95%信頼区間 1.136 - 2.533」の意味
この区間は、「本当のオッズ比が95%の確率でこの範囲に収まる」という統計的な信頼範囲です。
下限が1.136(1より大きい)であるため、統計的に有意な差があるといえます。

P = 0.010」の意味
P値が0.010というのは、「この結果が偶然である確率が1%しかない」ことを意味します。通常、P < 0.05 を「統計的に有意」とみなすため、この変数(だしの種類)はうま味感受性に影響する重要な因子であると認められます。

つまりこの研究で以下のことが明白になりました。

家庭で天然だしをよく使うほど、うま味を敏感に感じ取れる(=うま味認知閾値が低い)傾向が統計的に有意に高い。
逆に、だしを使わない・市販の顆粒だしばかり使っている家庭では、うま味に鈍感になるリスクが大きくなる。

この研究では、他にも以下の人たちのうま味を感じ取る能力が低下しやすいことが示されました。「魚より肉料理の摂取が多い」「親が和食を好まない」

天然だしでうま味の感度を上げる

うま味の感度を上げるには、食事の際に、例えば天然だしで作った味噌汁を飲むようにするだけで味覚感度は上がっていくようで、そのような記述も各論文に多数出てきます。

「塩味の認知閾値については3群に有意な差はなかったが、甘味、うま味では有意な差があった。特にうま味の閾値は差が大きく、汁を飲まないグループに比べて汁を週間に7回以上飲むグループの閾値が低く、感度がよいことが分かった。」(論文1)

「うま味は他の基本味と異なり,うま味食品の嗜好性が高い者は味覚感度も高い傾向がある」(論文2)

「親が和食を『好まない』ことや,自宅でのだしの種類が,『作らない』あるいは『市販だしの利用が多い』ほうでうま味認知閾値が『非低群』となる確率が有意に高かったことから,本研究ではだしの嗜好より,だしの食経験のほうがうま味認知閾値に強く影響していると示唆された。」(論文3)『非低群』=鈍感

「対象者は1年次から4年次まで食や健康について学習し,調理実習等での天然だしの食経験を積んでうま味を認識できており,健康や栄養に対する意識や行動が向上し,味覚感度の向上もこれらの成果ではないかと推測される。」(論文5)

「本学においては調理実習時には,本枯節を鰹節削り器で毎回削らせ,昆布も日高昆布を用いてまたみそ汁のだしについては煮干しを用いて作成している。」「この検査についても2年間で天然の素材から抽出しただしの味を覚えさせた後,すなわち卒業時に行いに学習効果の検討を行う必要がある。」(論文7)

「成長初期に『天然だし』を経験した方が,天然の素材から抽出されただしに対する嗜好が定着しやすく,また『天然だし』のうま味を知覚しやすくなる可能性が示唆された。」(論文8)

天然だしを継続的に経験しているグループはだしの呈味成分を高く評価し、うま味の感じ方が強いと考えられた。」(論文9)

味噌汁を飲むと身体の中で起きること

「食事の前に『だし』を使ったお味噌汁やスープを飲むと、消化が助けられ、食事の満足感が高まる」という長年の食文化に根ざした知恵は、論文「うま味による消化管機能の調節」において、神経生理学的・消化生理学的・ホルモン学的・臨床的データにより、明確に科学的に裏付けられています。

この論文によると味噌汁を飲むと以下のことが体内で起こります。

1) うま味(グルタミン酸)を含む「だし」を口にする

2) 口腔内の味覚センサーが反応し、迷走神経を介して胃・膵臓に信号が送られる

3) 胃や腸の消化液・ホルモン分泌が活性化される

4) 粘液・重炭酸などの防御因子が増え、胃腸粘膜が守られる

5) 消化とともに、脳には「満腹・満足」の信号が伝わる

6) たんぱく質消化が効率化され、栄養吸収がスムーズに進む

7) 胃腸障害の予防・回復が実現し、健康維持や高齢者のQOL向上にも貢献

手軽に天然だしの味噌汁を作るコツ

味噌汁セット.JPG

1) 無添加の出汁パックを買ってきて、袋から中身のだし粉末を容器に移し替える

2) 天然素材のうま味をそれぞれ深める九州産本格椎茸粉もだし粉末に追加しておく。

3) オフィスならマグカップでも良いので茶漉しをセットする。

4) 茶漉しの下にカットわかめを小さじ1/2で一杯だけ入れる(かなり増えます)。

5) 熱湯をカップに注ぐ。

6) だし粉末は一人分なら小さじ1/2(2.5cc)大盛り一杯がちょうど良いです。

7) 2-3分したら茶漉しを取り除いて、味噌をカレースプーンで一杯だけ箸で溶いて出来上がり。

オフィスで作るなら計量スプーンの大さじは他に使い道がないのでカレースプーンで良いです。計量スプーンの小さじ1/2はカットわかめとだし粉末の一人分計量に最適です。

味噌は無添加でも常温保存OKなので会社の引き出しで保存できます。褐変しますが風味に問題ありません。

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